園だより(2015年8月)
Fast Track
Mr.Miyashita と書かれたプラカードを持った出迎えの人、7月1日午後8時前、スペイン、マドリッド、バラハス空港到着ロビー、関空を10時過ぎに離陸して12時間弱、ドイツ・フランクフルトに着いて2時間余り待った後に乗ったルフトハンザ機で2時間、16時間余りの旅であった。マイレージで購入した航空券をキャンセル、キャンセルして期限切れ寸前の3泊のスペイン訪問であった。ドイツまでの飛行機は45年ほど前に初めて見て、その大きさにびっくりしたボーイング747-400、半世紀近くたってまだ現役かと2度びっくり。今回の一人旅は最悪の事態を想定して、日中はガイドに付き添ってもらうことにした。若い時には思いもつかなかったことだろう。外国ではベンツの事をよくメルセデスと呼ぶ。駐車場にメルセデス・ネグロ(黒)を取りに行ってくるから少し待ってくれとのこと。そのメルセデスに乗って歴史あるWestin Palace Hotel へ。車の中で運転手があまりうまくない英語で話しかけるので、スペイン語で返事をすると、次から次へと機関銃のように話が続く。昨日は暑くて42度まで上がったとか、一番格式のあるRitz Hotelがアラブ系のマンダリンに買収されたとか、若者の失業率が高いので、イギリスやドイツ等に優秀な若者が出ていくとか、スペインは今は欧州のどの国よりもセグロ(安全)であるとか、中心街にある広大なレティロ公園はNew York のセントラルパークのように24時間物騒でないとか。成る程、見た限り今のスペインはその通りかもしれない。いつものように持ってきた電気ポットで水を沸かして、カップラーメンを食べてこの日は終わり。箸がついていればとよく思う。明日の朝5時のモーニングコールをお願いして就寝。時に日本時間の午前7時ころ。 Fast track はもともとアメリカ大統領の貿易促進権限、この間までオバマ大統領と議会との間でTPPに関してもめていた権限。飛行場では優先ライン、出国審査などで時間がかかるためにこれを避ける意味で設けている。さすが貴族社会のヨーロッパ。日本では何でもかんでも表面的に平等主義を標ぼうしている為にfast trackは存在しないが、もしそれが設置されたらどんな論争がわき上がるだろうか。乗った飛行機はATR-72、仏伊の2国で製造、よく事故を起こし、最近では台湾で離陸直後に川に墜落したプロペラ機。それしか飛んでいないSan Sebastian(サン・セバスティアン)の町へ。今回は2か所が目的であった。1つは北部バスク地方、そしてこの町はその中心の観光地であった。何よりも一番の特徴はビスケー湾で獲れる魚であり、市場を覗くと日本の魚の種類よりも多い感じで、新鮮そのもの、それに野菜や果物、肉類も豊富ときているので、他の欧州からこの地に食事を求めてくる人が非常に多いとか。このバスク地方はナチスに攻撃されたゲルニカのある町でも有名だが、スペイン語と違うバスク語が認められ、話す人も多い。カタルニア語を話すバルセロナのように。ここで昼に食べた魚料理の味が忘れられない。もう一つはマドリッドから北西へ約100km、日本の新幹線のような高速鉄道で30分、高度1000mの町、セゴビアであった。ウォルト・ディズニーがここの城を見て、白雪姫の城を作ったとかいうアルカサール、下から見上げると本当によく似ている。他の世界遺産は2000年ほど前にローマ人が作ったローマ水道橋、重機のない時代にどのようにしてこんな巨大で精巧なものを作ったのだろうか。そして最後にセゴビアの名物料理、子豚を丸ごとオープンで焼き上げたコチニーリョ・アサド、注文したが顔や耳が付いた丸焼きの子豚を見ると食欲がわかない。実質2日は短いけれども、凝縮した旅であった。ギリシャの次の経済破綻はスペイン、イタリア、ポルトガルと言われている南欧の国々、見る限りそんな印象を一つも受けなかった。スペインではすでに夏休みに入っているので、夫婦ともに働いている人の為に子供用の林間学校が多数あり、いたるところで大人に引率されている小グループの子ども達がいた。今年も節電、節約が言われている。節約は大事なことは言うまでもないこと、しかし節度ある節約、生きたお金の使い方も大切なこと。私の知っている父親は子供が小学生の時に小遣いを500円しか渡さなかった。勿論必要な時は惜しみなく与えた。それもお金の価値を知る上で大事なことかもしれない。私たちは子どもの機嫌を損なわないように必要以上に与えがちだが、心を鬼にすることも必要な時もある。夏休みが明けると子ども達は本当に大きくなって帰ってくる。子ども達が健康で事故にあわないように祈るばかりですが、保護者の皆様もご自愛のほどよろしくお願い申し上げます。