鳳幼稚園

園だより(2021年3月)

「東風吹かば 匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」、菅原道真が九州に左遷された時に読んだこの歌にもあるように、東風が吹いたら、その匂いを九州まで届けてほしい。決して忘れてはいけないよ。大宰府に行ったことがないが、冬から春への季節の移り変わりを告げる梅の花、家の庭に咲く白い枝垂れ梅と幼稚園に咲く黄色や白のクロッカスの花で冬と春のせめぎあいの季節を知り、又その花の桜以上のはかなさを毎年毎年過ぎていく時間の速さに一抹の人生の黄昏を実感する。自然界は「私たちは毎年毎年の営みをしているにすぎない」と言うだろうが、それを愛で、心の豊かさを求める私たちにとっては永遠にそれが続くわけではない。未曾有のコロナ禍の中で、昨年大学生になった若者はどのような学生生活を送っているのだろうか。3年生、4年生の就職はうまくいっているのだろうか。私たちの幼稚園を卒園した人の中にも今そんな境遇に置かれている人もいるだろう。蛍雪の功なって、今年志望校に晴れて合格した学生にはどのような運命が待っているのだろうか。捲土重来を余儀なくされた受験生もいるだろう。どうか人生を甘く見たり、あきらめたりしないでほしい。「努力は決して裏切ることはない」私はこのことわざが好きだ。今の苦悩や苦しさ、困難を耐えてこそ、その何倍もの価値となって返ってくる。そのようにして大きな人物になった人を探せば、枚挙にいとまがない。そんな先輩や祖先の人が身を犠牲にしてまで築いてきた日本は先進国の中では一人当たりの所得が最下位と言われている。日本に住んでいる限り、実感することはないが、外国に旅すれば痛いほど思い知らされる。私たちの愛する円がなぜこんなに価値がないのかと、ある経済学者は働いている人の給料を低く抑えているからだと言うし、又ある人は日本人の生産性が低いからだと言う。中国に負け、台湾に負け、韓国に負け、そしてフィリピンにまで負けるようなことがあれば、安閑としていられない。若い時にそれらの国に行くと言えば、遊びのツアーとして、非難されてきた。最近の日本はどこまでその地位が下がるのだろうか。GDPはまもなくインドに抜かれるという。人が減り、住まなくなり、価値が下がった国土が外国から狙われているという。そのことが事実だとしたら、私たちは惰眠から目を覚まし、一致協力して日本のアイデンティティーを守っていかねばならない。連綿と歯を食いしばって守り続けてきた先祖の人々に申し訳が立たない。勿論、地球全体で考えたら、日本の土地をどこの国の人が売買し、住みつくのも、自由であるのかもしれない。さて、本題に戻そう。私たちは何のために勉強するのだろうか。勉強しなくても、立派に成長し、事業を起こし、成功する人も沢山いる。勿論それ以上にその反対の人もいるが。勉強することは良い会社や役所に入り、良い職業に就き、収入を安定させて、生活を楽にする、勿論そのこともあるだろう。私たちは勉強することによって、心の豊かさを確実なものにする。たとえその過程で失敗しても次の成功への足掛かりを見つけることの選択肢を多数知ることができる。勿論、勉強だけでは完璧でないかもしれないが、少なくとも何もしないよりは何倍も何倍も確率が高い。
年長組の皆さん、卒園おめでとうございます。皆さんは前途洋洋です。怖いものは何もありません。昔と違って、努力すれば、与えられるものが沢山あります。これから続く長い学校生活、いろいろ悩み、苦しみ、戸惑うこともいっぱいあるでしょう。自分一人で無理に解決しようとしないでください。親がいます。兄弟がいます。そして友がいます。先輩も後輩も控えています。君たちの成功をみんな応援しています。いろいろな人のアドバイスを受け、参考にしながら、逞しく自分の道を勇気をもって切り開いていってください。リンゴ、年少、年中組の皆さん、来年も先生と一緒に幼稚園で過ごします。まだまだ幼稚園で学ぶこと、経験することがいっぱいあります。今が人生の中で一番大切な時です。心行くまで、楽しく、元気よく過ごしてください。病気になったり、事故にあったりして、お父さん、お母さんを悲しませないでください。皆さんを見守り、皆さんに期待している人が皆さんのまわりにはいっぱいです。
保護者の皆さん、この一年間、本当にありがとうございました。今後とも今まで同様、ご支援、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。