園だより(2019年9月)
知る喜び、知らない喜び、知らないでいる喜びと不幸
私たちは膨大な情報の中で生きている。昔の人に比べるとその情報量は半端ではない。 過去を知り、現在を生き、未来を思う私たち、そして所狭しと世界の端まで飛び交う数え切れないほどの航空機、宇宙から私たちを見つめ、監視している人工衛星群、そこからもたらされる信じられないくらいの情報、アフリカの片隅、南米アマゾン、果ては北極熊の生態まで、国内では昔なら無視されていたような、そして知りたくもないような些末なニュースも大きく広がりを見せ、SNSを通じてさらに拡散し、NET難民の餌食にされ、攻撃の対象になってしまう。個人が裸にされ、個人情報保護法は意味を失いつつある。一人一人は善良な一市民であっても、素性が隠されると、牙をむくオオカミになるが、何かの拍子に実態が明かされると、小心者に還っていく。情報過多のこんな社会は果たして幸せだろうか。誰と誰が結婚しようが、離婚しようが、私たちの日常生活に関係ないし、私たちに幸福をもたらしてはくれない。国内外で日本人が活躍したニュース等はリアルタイムに私たちに届いている。それは現在に住んでいる特典だと思うが、知りたくないニュースをさも仰々しく聞かされると、遠くても10km位のコミュニティーで生活していた昔の人がhappyだと思う。さて、私も70代真ん中、いつもこれが最後の旅と思いながら、航空券とホテルだけを予約し、今年も夏休みを利用して海外に出た。今まで行ったことのない都市が目的地。西ベルリンは東ドイツに高さ3mくらいの強固な壁で取り囲まれていた。その壁の象徴的なブランデンブルグ門は1989年12月の東独政府の崩壊とともに開かれた。しかし未だ西独と東独市民の間には意識の差があると報じられている。ソ連とアメリカの捕虜交換場所になったクロスポイント・チャーリーを見たかった。しかし今は観光地の一部に過ぎず、普通の街並みであり、映画で見たような感動はなかった。一番感動したのは世界最古のベルリンの動物園、広い敷地、よく整備された樹木の中にあるこの動物園はパンダを始め、様々な動物が住んでいて、ケージの中ではなく、あるがままの自然の中で生活していた。毎日が飛行機の駆け足旅行、エアポートからホテルまでの移動はタクシーに頼ったが、ストックホルムではタクシー乗り場に着くと、タクシードライバー達が手をあげた。どれも正規のタクシーだが、料金が違った。ガイドブックを見て、黄色のタクシーに乗った。降車の時に現金を渡したが釣りがないと言う。これも作戦だろうか。日本を出るとき、成田で5万円をユーロに替えた。しかし使ったのはドイツだけ。スエーデンに行くときに2万円をクローネに替えたが、無意味だった。デンマーク、ノルウエーも含めて、電車の切符、タクシー、レストランやデパートの支払い等は全てカードでOK、それぞれの通貨に替える必要は毛頭なかった。ストックホルムは顕著であったが、公共のトイレ(例えば飛行場)には男性が立って用を足す便器がない。場所によっては男女同じで、女性が出てきた後に男性が入っていった。飛行機で慣れているとは言え、男女平等のトイレは日本で普及するのだろうか。飛行機も男女別々のトイレを考えているのに。コペンハーゲンの人魚の像は予想外に小さかった。陸地近くの岩の上でこちらを向いた像は大方の期待を裏切るものかもしれないが、そこに来たという証になる。実業家が寄贈したこの像はあまり観光資源のないこの町にとっては、名前で有名なチボリ公園と同じくらい貴重な存在なのだろう。食器などが好きな人にとってはロイヤルコペンハーゲンの本拠地、工場や事務棟は高い煙突のある大きな建物であるが、今はほとんど人気がない。端の方でOUTLETの食器などを売っているだけ。実際はほとんど東南アジアで作られている。この北欧三カ国でオスロは一番印象に残った。この町は飛行場から約50km、タクシー代が高かったのでびっくりした。しかしここは静かな落ち着いた王国であり、少し前に銃撃事件があったとは信じられない。女性はほとんどブロンドかプラチナブロンドで、黒髪の人はほとんどいないし貴重な存在。思い出に、縦横無尽に走る地下鉄に乗って、ムンク美術館に行った。朝早いせいかあまり混んでいなかった。よく目にする「叫び」と「マドンナ」を間近で見ることが出来た。やはり良いものは良い。実感であった。昼は港まで歩いて、少しリッチそうなレストランに入った。新鮮な魚介類やロブスターが豊富だった。来るときのタクシー代に懲りて、帰りは列車で飛行場に向かった。地下の駅から乗って空港へ、乗り心地の良い高速列車で20分たらずで到着した。費用もタクシーの六分の一位であった。この三カ国はそれぞれ飛行機で1時間くらい、通貨はそれぞれ異なるが、全てクローネであった。そして気温もよく似ていて、日本が35℃を越えているときに、20℃余りであった。いつまでも好奇心と知識欲を持ち続けたいと思う。
園児募集のお願い
来年度の園児募集は9月1日より願書配布、10月1日より受付となっています。「三つ子の魂百まで」のまさに正鵠を得たことわざのように、3歳児からの保育の重要性を十分認識し、真摯に幼児教育に取り組んで参ります。そして幼稚園に通園させてよかったと笑顔で言ってもらえるように教職員一同力を合わせて頑張ります。どうぞご近所、お知り合いの方にもお勧めいただきますようお願いいたします。9月、長月、食欲とスポーツの秋、明るい未来を目指して、今月も出発です。