園だより(2017年7月)
謙虚 or 卑屈
今年は空梅雨かなと思っていた矢先、どんより曇り、頭を押さえつけられるような空模様、やはり今年も梅雨は日本にやってきた。水の大切なことは十分理解しているつもりだが、戦後すぐには梅雨が来るたびに悲惨な災害がもたらされ、失う人的被害も大きかったが、高度成長が進むにつれ、河川、山林が整備され、損失が少なくなってきた。しかし自然の力にはとても勝てず、今でも謙虚に自然の怒りが鎮まるのを今か今かと待っている。私たちは静かな安らぎの生活環境の中で暮らしたいと願っている。がしかしそれを希求していくと、ある種の矛盾に遭遇してしまう。人は個人の安寧さ、快適さを極度に追求、すなわち働く時間を減らし、余暇を限りなく増やしていくと、どのような結果が生じるだろうか。生活レベルが下がってもよい、働く時間を見直し、家族の絆を深め、自分の時間を出来るだけ沢山持ちたいと願う人には幸いであろう。高校の教師をしていたときの英語の例文を思い出す。Japanese people are (industrious) (industrial).どちらが正解かよく問題に出した。日本人は世界中から勤勉な民族だと言われてきた。果たして今も同じだろうか。疑問に思うことも多い。実際にアメリカ人や他のアジア人で日本人以上によく働く人も多い。というか熾烈な生存競争を繰り広げている。日本は資源のない国であり、その日本が世界で互角に戦い、存在続けるためには、その優れた頭脳を生かしてよく働く以外に方法がない。それが日本の存在を確固たるものにし、世界に大きく貢献できる道と思う。幸い日本人は個よりも集団を大事にし、又強く日本人であることを意識し、団結する力がある。日本人が活躍していると、熱くなって支援したり必死の応援をしたりするし、made in Japan と書かれていたら、優先的に買いたい気持ちになる。自然科学だけでなく、人文科学の分野においても、ノーベル賞を始め、世界的権威の賞を授かっている人は多い。それはそれで私たちにとって、とても大きい精神的な励みになることは自明の理として、特にスポーツ面での若者の活躍が顕著である。テニス、ゴルフ、卓球、短距離、野球、サッカー、バドミントン、そしてモータースポーツの一つの頂点、インディー500を制した佐藤琢磨選手。彼らの活躍ぶりは私たちの想定の範囲を超えて世界的である。アメリカは?ドイツは?中国は?どうだろうか。日本と同じような国民性だろうか。その違いをまざまざと見せつけられた。6月のある土曜日、朝、関空を飛び立って、昼過ぎに上海に到着した。初めての中国であった。長崎県の真上を通り、長江の河口にある大都市上海の浦東(プートン)空港に着いた。目的はなかった。行く場所も決めていなかった。何の下調べもしなかった。ただトムクルーズの映画に出てくるあの背の高いビルのある地域だけは見たかった。空港の案内所で町の中心街に行きたいと言った。外灘(ワイタン)バンドに行けと言った。すぐにつくものだと思ってタクシーに乗ったが50kmは優に離れていた。タクシーで降りた目の前に日本食レストランがあったので、そこで少し食べ、反対側から上に出た。驚きであった。目の前の風景、カーブを描いた大きな河の向こうには、映画で見たのと同じ風景があった。ここは外灘 バンドと言うのだと初めて知った。その風景は私に強い印象をもたらしたが、反面シンガポールに似ているかなと思った。同じJAL機で時差の1時間異なった上海空港を6時に出発して、関空に戻った。慌ただしい一日であったが、それなりの収穫もあった。日本は外国からの観光客を出来るだけ沢山呼ぼうと努力している。空港だけに限らず、町のあちこち、そして便器にまで英語、韓国語、中国語の案内標識がある。外国人にとっては快適であろう。ドイツはドイツ語だけだし、観光客の多いアメリカ、フランス、イギリスでも母国語以外せいぜい英語くらいだ。先月の台湾でも、今月の上海でも日本語の案内はなかった。逆に考えれば、韓国人や中国人は英語も読めないから母国語で表記してあげているのだと、傲慢に考えていると思われても仕方がない。外国は自国にプライドを持ち、その国を訪れる人はその国やその言語を少しでも調べてくるべきと思っているのか。反対に考えれば、日本人は外国人には奇妙にへりくだり、プライドがなく、「おもてなし」と言って過剰な接待、歓迎をしているだけなのか。小さなこと一つとってみてもそれぞれの国情を垣間見ることが出来る。
7月、July、文月、今月も子どもたちの成長を願って一歩一歩進んで参ります。