鳳幼稚園

園だより(2017年2月)

流れが変わった。2017年1月20日、不動産王と言われているドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領に就任した。「America first」を中心テーマにこれからどのような政治をしていくのか興味深い。12月下旬、ニューヨークに行った時、市内ツアーに参加した。日本語のガイド付きで、その女性は日本人で、現地に20年余り住んでいた。彼女は市内案内をしている間、少しでも時間があるとトランプ氏の悪口を言った。お金を払って市内案内をお願いしていた。トランプ氏の悪口を聞くためにお金を払っているのではなかった。たまりかねて「トランプ氏の悪口を言うことをやめてほしい。そのためにお金を払っているのではないのだから」と言った。実際ニューヨークに限らず大きな都会では反トランプが多い。民主的に選ばれた大統領が嫌いだからと言って何でもやっていいわけでないし、マスコミも芸能人も少し冷静になるべきだと思うのだが。私はトランプ氏について何も知識を持ち合わせていない。それどころか昔活躍した過去の人というイメージであった。しかし不動産王として成功をおさめたのであれば、普通の人以上に才能と才覚があるのだろう。実際就任演説を聞いても、オバマ氏の謙虚で建前の多い話とは対称的に率直で遠慮なく本音で語っている。政治の世界で弁護士や教育者が多い中、ビジネスマンが辣腕をふるって活躍するのも案外いいのかもしれない。それに強力なユダヤ人の勢力が控えているのも大きな強みだ。兎に角、就任後数か月すれば、反対派の人が心配するような事になるのか、あるいは「案外やるのでは」と評価に変わるのか興味津々だ。トランプ氏にとって最初の支持率が40%なのだから。それより下がる心配はいらないし、むしろどこまで伸ばせるかであろう。考えによっては気楽で余裕のある大統領であるのかも。政治の世界では前例にとらわれ、保身ばかりを考えて政党を渡り歩く政治屋の皆様を見ていると、本音でずばずばいう人が新鮮に見えてくる。日本のマスコミがこぞってトランプ大統領をよく言わないどころか批判的に記述している場合が多い。成程トランプ氏の仕事はカジノを含め、あまり尊敬をもって見られるものでないかもしれない。その上何回も失敗したとか、何度も倒産したとか言われているが、そこから這いあがり、立ち直ってきた。ひとつが失敗しても他がうまくいく。或いはその失敗から回復させるようにいろいろ網を張っていたのだろう。ビジネスはいつもうまくいくとは限らない。その時に備えて今でいうリスクマネジメントがしっかりしていたのだろう。そういう意味でお金にあまり関連付けがないオバマ大統領とは著しく対照的である。何も清廉潔白な人だけがトップに就くべきだという意見に私は与しない。ビジネスの手法を政治の世界に持ち込むのも十分合理性がある。アメリカ軍は日本から出て行けと叫ぶ団体も存在するが、トランプ大統領になって実際に日本から米軍がすべて引き上げたら、ばんざいと叫ぶのだろうか。極東の独りよがりのマスコミが選挙でちゃんと選ばれたひとの国の大統領の正当性を批判し「民主主義の破壊」等と言う。いやしくも民主主義の投票で選ばれたトップを嫌いだからと言って良い記事を書かない。アメリカのメディアがそれを聞いて新聞にそのことを書くと、アメリカの人たちはどんな反応をするだろうか。反対にアメリカのマスコミが日本の政治家について徹底的に批判すると、日本人はどんな気持ちになるだろうか。それにしてもテレビなどのコメンテーターの解説には驚くことが多い。「そんなことは誰でも知っていること」と共通理解していることを臆面もなく得意にしゃべる。視聴者を馬鹿にしているのか、解説者のレベルが低いのか、あるいは余計なことを話さないようにディレクターからくぎを刺されているのか。何か知らないが、公共の貴重な電波の無駄遣いのそしりを免れないという人もいる。トランプ氏の行動や発言はこの小さな島国に住む小さな子どもたちにどんな影響を与えるだろうか。世界貿易が縮小するかもしれないし、自動車を始め輸出に頼る企業は大きな影響を受け、貿易立国の日本は経済的に困った状態になる恐れがある。国の予算が削減され、幼児教育に回ってくるお金も減るかもしれない。しかし命を取られることもないし、力を合わせて努力すれば乗り越えることができる障壁であろう。案外そのほうが日本人の団結力が復活する良い機会になるかもしれない。しかしながら過激な発言が頻発しても短いスパンでは世の中は何も変わることはない。まだ進路の決まっていない多くの受験生、そして10年後には確実に試練を受ける幼子たちにとっては寒い厳しい2月、女神が微笑ますように心より祈っています。