園だより(2016年8月)
一段とたくましくなった姿を見せて下さい
中国>日本>イギリス>アメリカ
私たちは得てして誤解しがちである。現在超先進国であるがゆえに歴史も古いだろうと。 企業の世界に置き換えてみれば、大企業で重厚で基幹産業であり、実力ある企業であるが故にその歴史が古いと。しかし企業は生き物、その繁栄の歴史は一般に50年だと昔は言われたので、国とは少し異なるが、冒頭の国は歴史の古い順に並べたもの。悠久の歴史を誇る主に漢民族の中国は様々な人種の人たちが作った新興国アメリカに次いで経済的実力は2位、新しい国と古い国が1位と2位を競い合うのは歴史の皮肉でもある。歴史の皮肉と言えば、欧州で今大きなうねりとなっているのが民族大移動。今から1700年あまり前に始まったそれは、明白な国境がなかった時代に、一部は自由意志であったかもしれないが、時の権力者の恣意的な行動によってなされたもの、北から南へ、北欧からイタリアやスペインへ、そしてそのうねりはついにはアフリカまで到着した。21世紀の今の欧州で潮流となり、各地で様々な問題を引き起こしているのも、現代版民族大移動。皮肉なことに今回は前回の真逆、南から北への大移動。アフリカから中東から、欧州への追い立てられるようにしての動きは政治的迫害が認められるものの、自由と豊かさを求めての命をかけての必死の移動。最近まで国境という概念がなかった中東は別にして、今の欧州はヨーロッパ共同体になっているとはいえ、まだまだ祖国という概念が強く、強烈なアイデンティティを持っている国の集まり。離脱を考えている国もあり、自由に国境を行き来できる理想主義の建前と他民族排斥運動という本音の狭間で、欧州人が持つ葛藤が深く、大きな政治的対立の源流となっている。家族、市町村、都道府県、国、人はその中で連帯を強め、安らぎを得、存在を確認し、競争が芽生え、闘争心がわき上がる。卑近な例では、家族に有名人が出ると、急に親族が増えたりする。市町村単位では学力の向上を目指しての競争が起こり、国体などでは自分の都道府県を今そこに住んでいるだけで、応援に熱くなる。オリンピックや国外試合又はノーベル賞や先端科学技術では、日頃は見向きもしない人も、日の丸を見るや否や目頭を押さえ、涙を流して応援を始める。国威発揚と言ってしまえばそれまでだが、何かしら大きなつながりを感じてしまう。危険なサインと言う人もいるが単純に喜んでいいのかもしれない。これが民族の同一性のもたらすものであり、その中では人は快適であり、仲間意識が培養され、それを邪魔するものは排斥されかねない。大きな力となるものであり、危険な力にもなり得る可能性もある。どちらにしても、自民族だけが、自国だけが豊かであり続けることは出来ないし、そんな甘い考えは許されるものでないことは歴史が証明している。アメリカの新聞に日本の事が掲載されることは少ないが、東南アジアの新聞には日本についての記事が多い。1970年、1980年代、台湾や、東南アジア、中国は日本との収入格差が顕著であり、富裕層もほとんど見られなかった。しかし今はどうだろうか。日本との収入格差はあまり見られず、中国の富裕層に至っては日本国民の半分くらいにまでなっているとか。私たちは昔のイメージを払しょくして、新しい時代に適応した考えを持つことが大事になってきた。しかし日本人であるという昔からの誇りは心の中に持ち続けることも必要である。時あたかもその象徴的存在の天皇陛下が生前退位を考えておられるとか。フィリピン、パラオという激戦地を訪問されて、一区切りと考えられたのでしょうか。歴史は確実に動いている。
一学期が終わりました。保護者の皆様も実感されていると思いますが、子ども達は肉体的、精神的に随分成長を遂げました。本当に褒めてあげて下さい。これからいよいよ長い夏休み、ただ怠惰に日々を送るのではなくて、この機会にしかできないことを一つでも、二つでもしてあげて欲しいと思います。たとえどんな小さなことでも、子どもたちの記憶の中に大きな思い出となって蓄積されていきます。そして何よりも病気になったり、怪我をしたりしないように気を付けてあげて下さい。掛け替えのない命、掛け替えのない子どもたち、私たちは暖かい気持ちと強い気持ちで彼らの成長をやさしく見守っていきましょう。夏休み明けの9月、一段とたくましくなった姿で私たちの前に帰ってくるのを楽しみにしています。しばしのお別れです。